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狙われるネットバンキング預金 不正送金被害 先月は過去最悪に

インターネットバンキングの口座から預金が別の口座に不正に送金される被害が急増し、被害額は先月だけで7億7000万円余りに上っています。警察庁などは危機的な状況だとして注意を呼びかけています。

警察庁によりますと、インターネットバンキングの預金が狙われる被害は、ことしの前半まで多い月でも1か月に50件程度で推移していましたが、9月以降急増しています。

被害は、
▽9月に441件で4億800万円、
▽10月に397件で5億1900万円、
▽先月は573件で7億7600万円に上り、先月は件数・被害額ともに統計を取り始めた平成24年以降最も多くなっています。

多くの場合、金融機関を装って携帯電話やパソコンにメールなどが届き、本物そっくりの「偽サイト」に誘導されてIDやパスワードが盗み取られ、知らない間に多額の預金がなくなっているというものです。

金融機関がメールなどで口座に関する情報を尋ねることはないということで、警察庁は、不審なメールなどは開封せず、金融機関の公式のサイトやアプリを確認したうえで利用するよう呼びかけています。

ネットバンキング狙う手口とは

インターネットバンキングを狙う手口では利用者に「本人確認強化のため」などとうそのメールを送りつけ、本物そっくりの偽サイトに誘導します。

インターネットセキュリティ企業の「セキュアブレイン」によりますと、気付かずにIDやパスワードを入力すると、犯行グループはほぼリアルタイムでその内容を把握し、安全性が高いとされる「ワンタイムパスワード」まで盗み取って、ごく短時間で預金を別の口座に送金してしまうということです。

この会社の解析によると、ネットバンキングを狙ったアクセスは海外からのものが多く、その大半は中国が発信元だということです。

セキュアブレインの邦本理夫ゼネラルマネージャは「情報を盗み取るフィッシングから送金までをほぼ自動で行うような高度なツールも出回っている。フィッシングサイトそのものを止めることは難しく、インターネットバンキングを利用する人は、怪しいメールなどはクリックせずパスワードなどの情報を入力しないよう注意してほしい」と話しています。

全銀協「サービスを脅かす深刻な事態」

「全国銀行協会」では、これまでもホームページやリーフレットなどで注意を呼びかけてきました。

全国銀行協会の担当者は「インターネットバンキングのサービスを脅かす、深刻な事態だと捉えている。被害は、最初は一部の銀行だけだったが広がりを見せていて、多くの人に、こうした状況を知ってほしい。お客様に安心してネットバンキングを利用してもらえるよう、今後も取り組みを進めたい」と話しています。

警察庁長官「関係団体と連携して被害防止進める」

警察庁の栗生俊一長官は19日の記者会見で「9月以降に被害が急増したのを受けて注意喚起を実施してきたが、その後も被害が増えていることから、フィッシングなどの手口について、全国銀行協会との情報共有体制を充実させた。引き続き関係団体と緊密に連携し、被害防止のための取り組みを進めたい」と述べました。


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