アメリカではいまAI=人工知能を手がけるスタートアップ企業が次々と生まれ、時価総額10億ドルを超える「ユニコーン企業」を目指す経営者たちが日々、開発にしのぎを削っています。年々競争が厳しくなるアメリカと日本の違いはなにか、本場シリコンバレーで取材しました。(国際部記者 曽我太一)
次々と生まれるユニコーン
アメリカでは、時価総額が10億ドルを超えるスタートアップ企業、いわゆるユニコーン企業が次々と誕生しています。2019年は過去最も多い64社がユニコーンに成長しました。
これまでユニコーンになった企業のなかには、民泊仲介サイトの「Airbnb」や、Googleの自動運転プロジェクトの技術部門の元トップなどが立ち上げた「オーロラ」、それに斬新な切り口で話題のデジタルメディア「Vox Media」などが名を連ねています。
2010年以降、AIは歴史上3度目のブームを迎えていると言われています。
AIに必要な機械学習やディープラーニングの精度が飛躍的に改善したことに加え、コンピューター自体の情報処理速度も加速度的に向上したため、多くのスタートアップ企業がAIによるイノベーションを起こそうとしています。
とにかく多い競合相手
藤巻さんはNEC出身のデータサイエンティストで、アメリカでも注目されるAIの技術を開発していました。
しかし、企業内の開発では、予算の決定権や社内調整などに時間を多く割かれ、優れた技術がマーケットに出る機会を失ってしまうと考えたため、NECの出資を受け、独立することを決めました。会社を立ち上げたあと、藤巻さんはすぐに厳しい現実に直面します。
シリコンバレーでは、世界中から集まった優秀な人材がスタートアップ企業を立ち上げているため、顧客側も見る目が厳しかったのです。
藤巻さんの会社は先月、現地の大手金融機関などから2300万ドル(約25億円)を調達するなど順調に成長を続けていますが、油断はできないと言います。「どんどん技術が改善していくので、『いまここまでできているのは私たちだけです』と言っても、来年にはほかの人ができるようになっている。でもその頃には、私たちはさらにもっと違うことができないといけない。競合相手の情報を収集したり勉強したりすることが必要で、今自分たちがどこにいて、どういうポジションかというのを非常に気にしてます。その点、日本より競争が激しいです」競合相手の多さ、人材確保の難しさ、マーケットトレンドの変化の速さ。こうした環境に身を置く藤巻さんに、インタビューの最後、5年後の会社の姿を聞いてみました。
すると…。
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