中国のネット通販最大手のアリババグループは26日、香港の証券取引所に株式を上場しました。米中の貿易摩擦が長期化する中、ニューヨークに加えて中国本土からも投資しやすい香港に上場することで、資金の調達先を多様化するねらいもあります。
香港証券取引所では26日午前、記念の式典が開かれ、アリババグループの張勇CEOが「われわれはデジタル技術を用いて顧客とビジネスパートナーをサポートし、一緒にデジタル経済時代に向かっていく」と述べました。
アリババの上場はニューヨーク証券取引所に続いて2か所目で、今回の資金調達額は日本円で1兆2000億円余りと、来月上場が予定されているサウジアラビアの国営石油会社「サウジアラムコ」に次いで、ことし2番目の規模になる見込みです。
初値は公開価格よりも6%高い1株=187香港ドル(およそ2600円)となりました。
アリババは得られた資金を、ネット通販事業の強化、ブロックチェーン、AI=人工知能の開発などに投じるとみられます。
米中の貿易摩擦が長期化する中、アリババとしては、ニューヨークに加えて中国本土からも投資しやすい香港に上場することで資金の調達先を多様化するねらいもあります。
香港では、一連の抗議活動の影響で金融センターとしての機能を不安視する見方もありますが、アリババによる大型の新規上場は香港の証券市場の健全性をアピールすることにもつながりそうです。
専門家「ある程度、中国の方針に沿ったものだと言える」
香港の金融市場に詳しいみずほ銀行香港資金部の原田雄一朗部長は「中国企業が中国の一国二制度のもとにある香港の市場で上場することは、中国政府からみても非常にポジティブな話だ」と指摘しています。
さらに、政府などに対する抗議活動が続く中での上場について「海外の投資家に対して、香港市場がこうした情勢にもかかわらず健全に機能しているということをアピールするためにも象徴的なイベントになる」と話しています。
そのうえで、「香港市場においてこのタイミングでアリババが上場するというのは、ある程度、中国の方針に沿ったものだと言える」と話し、今回の上場は、かねてから中国の有力企業に対して香港や上海市場への上場を促してきた中国政府の政策を反映したものと分析しています。
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